ep③ 6歳と8歳の違い 何も考えられない 指吸い

毒親エピソード

6歳と8歳の違い

前回の続き…

父「お前らのこと、母ちゃんはどうでもいいんや。
だからお前達を置いてどっか遊びに行ったまま帰ってけぇへんのや。」

その言葉を聞いた瞬間、私と兄の時時が止まったようだった。

けれど、当時6歳だった私は、まだ言葉の意味をしっかり理解できずにいた。

私「お母ちゃん元気なんやー!良かったー」と安心した。
でもそのあと、8歳の兄が「そうなんや」とだけ言ってゲームを始めた。


あんなに一緒に心配してたのに…。
急に関心がなさそうになった兄の様子が、不思議で仕方なかった。

小学3年生の兄が感じ取ったことは、
当時の私にはまだ分からなかったのだと思う。

何も考えられない。

母が家を出てから、2週間が経った。

毎晩一緒に寝ていた母がいなくなってから、私はうまく眠れなくなり、寝不足の日が続いていた。

朝になると、父にいつも通り7時に起こされて、バナナをひとつ食べて学校へ向かう。
でも体に力が入らない。気持ちもぼんやりしていて、
ぼーっとしたまま授業を受け、気がついたら寝てしまっていることもあった。

忘れ物が増えて、先生に怒られることも多くなった。
何をする気にもなれないまま、ただ家と学校を往復するだけの日々が続いていた。

指吸い

家に帰っても、やっぱり母はいなかった。
食べかけのままの皿や使いっぱなしの食器が散らかった部屋は、いつも以上ぐちゃぐちゃで、
余計心細く感じた。

私は寂しさと寝不足が限界に達して、リビングで一人、大声をあげて泣いた。

泣き疲れたあと、お気に入りのタオルを握りしめて、
3歳の頃にやめたはずの【指吸い】をしながらそのままリビングで眠った。

夕方、兄が学校から帰ってきた。
しばらくして、いつも通りゲームを始めた頃に固定電話が鳴った。父からだった。

兄が電話に出て、少し話してから言った。
兄「今日、父ちゃん22時までやから、ご飯食べといてやって。」
それを聞いて、私たちは黄色くなったご飯に、海苔とカニカマをのせて食べた。

兄「いつもより少ないご飯だからお茶を多く飲むんやぞ。」
私「うん!」

兄はもう母が帰ってきた来ないと分かっていたからか、
母のことを話すことがなくなっていった。

振り返り

この頃、私は母に対して恨みのような感情は一切なく、「母がなんか良くないことをしてる」と思うこともありませんでした。
ただ、ひたすらに寂しかった。

宿題忘れや忘れ物もひどく、先生には黒板の前で立たされたり、叱られたりしていました。
でも何を言われても、何も響かず
ただ、家に帰って「お母ちゃんの帰りを待ちたい」と思っていただけでした。

けれど母はなかなか帰ってこず、寝不足も重なって、ついに限界が来た日、
3歳の頃にやめたはずの【指吸い】が再び始まりました。


母はよく「あんたは完母で育てたんやで」と言っていたので、
母を感じたくて、無意識に指を吸い出したんだと思います。
(ちなみに、中学2年生頃から前歯が出てきたのはこのせいかもしれません)

大泣きして指吸っていたあの時、
心も中で何かが「ぷつん」と小さく切れたような感覚がありました。
それ以来、私は母を求めて泣くことがなくなりました。

やはり、母親という存在は子供にとって本当に大きなもので、
まさに“精神安定剤“のような存在なんだとだと今になって思います。

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